- 2020.06.01
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第40回 “ダン岡崎”の一口アドバイス ：ギリシャのゴールデンビザ（１）ギリシャはどんな国？
こんにちは！海外移住コンサルタントのダン岡崎です。
新型コロナウィルス感染の長期的な影響として、グローバルな人の動きに変化が起こることが予想されています。そして、長期居住や永住を目的に投資ビザの取得を考える投資家のマインドにも変化が生じるとの意見が、世界の移住コンサルタントの中に広がっています。ヨーロッパ各国のゴールデンビザに関して言えば、従来はシェンゲン地域の国々を自由に移動できることが大きな魅力とされてきましたが、これからは投資先の国の政治や経済の安定性、医療や教育の水準、日々の生活のしやすさなど、その国に長く住むことを前提にした国選びが主流になってくると考えられます。このブログで度々紹介をしてきたポルトガルは、それらの観点から今後も一段と注目される可能性が高いのですが、今回は、最近人気が上がってきているギリシャのゴールデンビザについてお話ししましょう。
≪ギリシャのイメージ≫
皆さんは、ギリシャにどんなイメージを持っていらっしゃいますか？青い海に囲まれた数々の島々を有する国や、紀元前2000年前に遡るエーゲ文明から現代に至るまでの様々な文化的遺跡に囲まれた世界有数の観光国、あるいは2009年10月に端を発する”ギリシャ危機”と呼ばれる経済低迷と政治的混乱が続く、投資リスクの高い国としてイメージする方も多くいらっしゃるかと思います。今回は、ゴールデンビザの説明に先立って、ギリシャの概要と、現在の政治と経済状況を簡単にお伝えしようと思います。
≪ギリシャ共和国の概要≫
ヨーロッパ大陸南東のバルカン半島南端に位置し、東にエーゲ海、西にイオニア海、南は地中海に囲まれ、2,000超の島々が点在しています。国土の80%は山岳地帯で、冬には雪が降りスキーを楽しむこともできます。日本の約1/3の国土には、約1,074万人（2018年 IMF）の国民が住んでいます。首都のアテネの人口は約300万人、現代ギリシャ語が標準語ですが、英語も良く通じる国です。EU加盟国なので通貨は€を使用し、シェンゲン国であり、NATO加盟国でもあります。
≪政治体制と経済状況≫
2009年10月に新民主主義党（中道右派）から全ギリシャ社会主義運動（左派）への政権交代があり、それまで隠されてきた財政赤字が明らかになりました（財政赤字がGDP比で5％程度とされていたが、実際は13.6％）。ギリシャ国債が格下げされ、同国への融資額が大きかったドイツ国債の価格や通貨ユーロが下落し、ギリシャと同じように財政赤字の大きかったイタリアやスペインなどの南欧諸国へもショックが波及しました（ギリシャショック）。IMF（国際通貨基金）やEU（欧州連合）は金融支援を決定したものの、その条件として、増税・年金改革・公務員改革・公益事業民営化などの厳しい緊縮財政と構造改革が求められました。国民の負担は大きく、景気も大きく落ち込み、大規模なデモや暴動が頻発しました。2015年の総選挙において、反緊縮や既存政治の刷新を訴えた急進左派連合（SYRIZA）のチプラス氏が政権を奪取しました。しかし同政権も早々にEUとの交渉に行き詰まり、公約に反し年金カットや増税などの緊縮財政を実施した結果、2018年8月に全ての金融支援プログラムが終了することになりました。
≪2019年7月の政権交代≫
4年ぶりのギリシャ総選挙（一院制、定数300）が行われ、中道右派の新民主主義党が単独過半数となる158議席を獲得して政権に就きました。党首のミツォタキス氏（51）はギリシャきっての政治家一家の出身で、父親は首相を、姉はアテネ市長や外相を歴任しましたが、自身も米ハーバード大学とスタンフォード大学で学んだ英才で、親ビジネスを掲げ、法人税の引き下げや規制改革などを公約にしました。債券市場や株式市場は政権交代を好感して上昇、海外からのギリシャへの投資も増加、他のヨーロッパ各国に比べ出遅れていた不動産市場も上昇するなど明るい展望が広がり、活気が戻ってきたギリシャを見る投資家の目はポジティブに変わって来ています。新型ウィルス感染への対応も素早く、感染者数と死亡者数を低く抑えている新政権の執行能力は高く評価されています。
今回は、ギリシャのゴールデンビザについてご紹介する前段として、国の概要や政治・経済の状況をお伝えしました。次回以降で、ゴールデンビザの詳細と魅力をご紹介します。
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